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第51話 サイレンスよりホスピタリティー|digilog Blog データベースの開発・構築ならデジログへ

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第51話 サイレンスよりホスピタリティー

私が物心ついた頃、家は洋食レストランを営んでいた。
(生まれた時は蕎麦屋だったが私の記憶には無い)
家がすなわち「お店」であり、神田という街柄昼食時が最も忙しく、その間は自分が生活している部屋も、お座敷席としてお客さんを入れるのである。
もっとも、学校に通っている間は自分は留守にしている時間帯なので大きな問題は無いわけであるが、学校が休みの期間は居場所がなく、そういう場合は日中2時間500円のバイト代で皿洗いを手伝わされることになる。
小学生の頃はそれが嫌だったが、そのすり込まれた環境からか、漠然と将来は飲食業の仕事に就くのだろうと思っていた。
そして今思えば、
接客業は商品やサービスを提供すると同時に「おもてなし」を提供する、
ということに何となく気が付いていた。
当時、口の悪い親父ではあったが、客に対するちょっとした気遣いや心配りを垣間見、そのギャップにも子供心に「おもてなし」の心を学んだ気がする。

さて、話しは変わり、私はタクシーがあまり好きでは無い。
あの狭い空間を初対面の人間がしばし「同居」する空気が少々苦手である。
とは言っても、移動に止む無く利用することも多く、都度そのドライバーの空気感を推し量り、変な気を遣うことになる。しかし、ドライバーの方が空気感を察知し、ちょっとした会話で居心地のいい空間に変えてくれることも多々ある。
昨今のドライバーも大変であろう。泥酔客の介抱や、暴言、暴力、果ては強盗や殺人事件まで起きている。
なるべく何も問題が起きず、目的地まで到着し料金を精算し、
 「ありがとうございました」
 「お世話様、運転お気をつけて」
と双方が気持ちよく別れることが出来るのが一番である。
そのためにも、多くの優良ドライバーは「接客」に気を使っているのであろうが、
折しも、先日、あるニュースを目にした。
京都のタクシー会社で、乗降時の挨拶、運転中のルート確認など必要な会話以外、
ドライバー側から客に話しかけない「サイレンス車両」を運航させるとのこと。
目的は、「静かな社内を提供する」ことだそうである。
確かに、うっとうしいドライバーの雑談にへきへきした経験も少なからずある。
しかし、それをあえてルール化するというのに驚いた。(現在は試験中とのこと)
実際、その「サイレンス車両」の静かな車内は居心地はいいのであろうか?
それは本当に「客」のため? まさか「接客」の出来ない一部のドライバーのため・・・?

タクシーは「サービス業」では無く「運送業」である。よって、客を目的地まで安全に確実に連れて行くことがタクシーの仕事である。
と、以前にタクシー業界のある方から聞いたことがある。
確かに業種的には「サービス業」では無いが、「接客業」と言っていいほどお客対応は重要に思う。
昔から東京では「くもすけ」と言われた質の悪いドライバーが横行し、今でも粗暴な言動や運転に冷や冷やすることもある。
これは論外としても、客に全く配慮できない、マイペースでノーテンキな無神経ドライバーがいる一方、前述のように、気の利いた応対やスマートな運転で、とても気持ちのいいドライバーがいることも事実である。
それを、「客」が利用したいそのタイミングでドライバーの選択ができず、「結果的に」という実状は如何ともしがたい。
いずれにしても、お互い見ず知らずのアカの他人同士が密室に一緒にいるわけで、それをいかに居心地良くするかは、まずは「ホスピタリティー」、ドライバーの「おもてなしの気持ち」なのではないだろうか。
あえて「乗務員からの声かけを控える」サイレンスタクシーなど運航しなくても、気の利いたドライバーであれば、声かけしないほうがいいのかどうかは、客の雰囲気や動作で感じとれるであろう。
もっとも、それは教えてできることでは無く「適正」と言ってしまえばそれまでであるが・・・

近い将来、更なる技術革新により車両の「自動運転化」が進むことは間違いない。
それにより、「目的地まで安全に確実に客を運ぶ」使命の多くは「自動運転」にとって代われ、
タクシーの「運送業」の役割は大きく変わるであろう。
しかし、そこに「安心で気持ち良く」となれば、人が運転するタクシーの意味合いは大きい。
それが人ができる「おもてなし」の心に他ならないのではないか。
それを、そのどちら(自動運転か人か)を望むのかを、客が選択すれば(選択できれば)よいのである。
その時、タクシー業は「運送業」から「サービス業」へと業種が変わり、ドライバー(オペレーター?)は、ホテルのコンシェルジュ並みのサービスと「おもてなし」を提供できるようになっていて欲しい。
「おもてなし」まで自動化にならないとは限らない、かっ?

日付2017/04/10

投稿者半澤 透

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