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第9話 順風満帆|データベースシステムのデジログ/digilog

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第9話 順風満帆

日本語には、「順風満帆」や新たな人生の「船出」、世間の「荒波」にもまれ・・・、等々、
船や航海に関連した言葉が多く使われる。
これは、当然ながら、四周を海に囲まれている立地に起因し、それだけ海と生活が近い関係にあったからであろう。

去る7月27日(水)、ある知人が船出をした。
約2カ月間かけて8,500Kmのかなた、アメリカのサンフランシスコを目指す旅に。
これは、人生のたとえでも、言葉の比喩でも無い。
愛艇の30フィートヨット「シートベンドⅡ」に乗り、
偏西風を受け、まさに順風満帆(?)、期待と不安と大きな好奇心を持って、
太平洋の荒波に向かい、正真正銘の「船出」をしたのである。

そんな彼から、9月19日にメール(E-Mail)が届いた。
 「到着しました!」
早すぎっ!
 「今、ハワイです」
えっ、サンフランシスコでなく、「ハワイ」?!
目的地変更? 一時立ち寄り? 予定では無寄港だったはず!?

メールによると、
 「日付変更線を越えたところで衛星電話のトラブル発生!」
大事を取って、急遽ハワイに寄港し機器のメンテナンスをするとのこと。
なるほど、トラブルか。大自然の中では無理は禁物。
まあ、大きなトラブルではなさそうで一安心。
彼も出航前の壮行会でも言っていた。
 「これは、決して冒険ではありません。先人達の体験も十二分に生かして、万全の準備の下で実行するものです。」
約半世紀前に「堀江謙一さん」が単独で太平洋を横断したのとは訳が違う。
とは言え、当然ながらに危険はつきもの。何せ何もない海の上を風を頼りに2~3カ月も一人で旅をするのだから。
 水や食料はどうするの? 一人で何か月も寝ないの? お風呂はどうするの?
 帰りはどうやって? 退屈じゃないの? 風が止まったら? 魚が釣れなかったら?
  云々
特に、知らない人にとっては、まさに命がけの冒険に見えることだろう。
しかし彼は「ありふれたクルージング計画のひとつ」と言う。
(この言葉にはまわりを心配させない彼の心遣いが込められているのだろう)
記憶に新しいところでは、間寛平さんの「アースマラソン」での太平洋横断があるが・・・。
もっとも、安全に旅行を楽しみたいのであれば誰もこんなことはしない。
少なからず冒険心やチャレンジ精神を持ち、かけがえのない大きな経験に胸を膨らませているに違いない。そして、彼は既に、その大きな体験の只中におり、これまでの航程でも様々な試練を乗り越えてきた。
これから、サンフランシスコまで、まだ1カ月以上は要するであろう。
ハワイ寄港は予期せぬ事態ではあるが、まずは、地に足をつけてゆっくり寝て疲れを取り、それから、また「旅」を続けてもらいたい。

単独太平洋横断壮行会 横浜クルージングクラブにて

そして、我々もまた、人生の「航路」の只中におり、日々大小様々な試練を受け、それを一歩一歩乗り越えていることを、最近改めて実感する。
先の震災や原発事故等に至っては、自分ではどうすることもできない、大変大きな試練であろうことは想像に余りある。
生まれた環境、国や地域、また、試練の大きさやその受け止め方は人それぞれ千差万別であろうが、それを乗り越えようとする時、仲間が家族が地域が大きな力に、支えになってくれる。
これはどこも共通しているのではないであろうか。
洋上の彼は、現在一人で様々な試練を乗り越えている。しかし、実際には彼の無事を祈っている家族が、友人が、仲間がいるから、支えがあるから乗り越えられるのではないだろうか?
そんな彼の繋がりの一つが 「トラブルになった衛星電話」 だったのかもしれない。

会社においてのそれは、もちろん社員である。
会社が様々な試練に立ち向かう時、荒波を乗り越えようとする時、その大きな支えになってくれるのは社員に他ならない。その社員たちの顔、またそれを支えている各家族たちの「顔」を思うとき、それが大きな力となって私を支えてくれていることを実感する。

もっとも、会社経営においては、出来ることなら、絶えず平穏な海を順風満帆で航海することを望みたい。
その舵取りが社長の役目であるのだが・・・。

日付2011/09/22

投稿者半澤 透

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